人材・キャリア教育業異界でのお仕事について

 

―ありがとうございます。次に、アデコでのお話をお聞きしたいです。

キャリア教育もそうですが、「人」に興味関心が高かったので、人材業界に入社を決めました。今思えば、「人材業界あるある」のよくやってしまう陥りやすい志望理由ですね笑。入ってすぐ、生命保険の会社に派遣されて、現場にで働く派遣スタッフさんや、生命保険会社の方と一緒に仕事していました。その先にアウトソーシング化を見込んでいたので、現場でリーダーシップを発揮しなければいけないという状況でした。必要に迫られて保険の仕組みを勉強していました。その現場でお仕事は、この生命保険会社が倒産することで終了しました。その頃、生命保険会社が倒産していく時代でしたが、まさか自分がそのような環境に置かれるとは、という気持ちでした。例えば「弁護士が資産を保全しにくる」とか、「報道機関が会社の前に連なる」とか、「それまで丁寧に仕事をされていた年配の方々がリストラされていく」みたいなシーンに遭遇し、「会社は潰れるもの」っていう経験を身をもって体験しました。

 

―人に興味があるから人材会社に入るのが間違いというのはなぜですか?

人材業界のビジネスは、企業が「働く人」が必要だ、となったときに働きたい人(派遣会社だと派遣スタッフさん)をご紹介して、仲介の手数料をいただく、というビジネスです。多くの人材会社は素晴らしい理念を掲げて活動をしていますし、本当にその理念を実現しようとしています。自分自身共感できますし、本当に「人の役に立つ」側面があると思います。一方で、資本主義社会の中では「売上」「利益」を上げていくこと、資本を大きくしていくことが求められ、人材会社では当然、人が商売の対象になってしまいます。素晴らしい理念がありながら、現場で求められることが、人を通じて利益を上げるという側面もあり、たとえばクレームの多いスタッフさんとのやりとりの中で、「人の感情は効率性を阻むものである」という考え方をされることもあリます。良い悪いというよりも、構造としてそうなってしまう、ということです。人が好きで働く人をサポートしたい、と考えて人材会社に入っても「自分がやりたいことはできなかった」となってしまう若手は多い。人材会社を志望する学生さんは、この資本主義社会での人材ビジネスのリアリティ(どうやって利益を上げているのか)を感じ取ってくれるといいなと思う。

 

―アデコ退職後はどのような仕事をしていましたか?

アデコ退職後は、「教育」、特にキャリア教育を仕事で取り組みたい、と思ってインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社、その後パーソルグループで仕事をしてきました。インテリジェンス入社後の仕事は、地方自治体とともに公共事業として、若年層の就職支援・教育訓練に関わる仕事に携わっていました。また、合わせて、大学・大学生向けの授業やテキストをビジネスとして行っている事業に携わりました。それが繋がり、ベネッセとインテリジェンスで作った新しい会社でも仕事をさせてもらいました。

 

 

―自分の興味・関心を大事にいろいろな仕事を経験されている末吉さんですが、「好きなものを仕事にする」ことに関してどう思いますか?

好きなプロダクトを、「好きだ」ということだけで仕事として携わるのは、期待値や理想が大きい分、やめておいた方がいいかもな、と思います、人によりますが。働き方やプロセスなどが自分に合う、好きだな、という仕事を選べば、ハマる気がします。働くことで自分が得られるもの(経験や感情)を重視すべき、と言えるかも。僕の場合その事業を進めるプロセスが見えていない状態で「人材をやりたい」「教育をやりたい」と表面的に職を選択してきたので、「なんか違う」と感じたんだと思います。まぁ、でもやってみてわかること、だと思います。

 

―今後のビジョンはありますか?

ビジョンしかない感じですね(笑)。数年前から、もっと大人が学んだり、変わらなければ社会は良くならないという思いを抱くようになり、人材開発・組織開発に携わりたいと思うようになりました。大学時代勉強してなかったと言いましたが、元々は勉強好きなので、この分野の本を読んだり、セミナーや研修に行ったりしてめっちゃ投資しています。そして「あぁ、これが自分のやりたいことなんだな」という感覚が、今はあります。大学を卒業して、バチっとキャリアが決まることなんてないし、もしあったとしてもつまらないよ、って思います。僕はまだまだ一生をかけて、やりたいことを探していくと思いますし、もっとこの旅路を楽しみたいな、と思っています。就職して終わりだと思うな!って感じですね。そんな人生は時代錯誤だな、と。

 

―では、最後に学生だった頃の自分に伝えたいことを教えてください。

大学時代の自分は、ガラスのようなプライドで「俺いい会社入ったぜ!」と思っていたけれど、就職したから終わりじゃないし、旅は続きますよ、って伝えたいですね。あと、辛いこともあるかもしれないけど、自分自身と自分の感覚や感情を信じて欲しいな、と。辛いことは学びや気づきのために絶対的に必要だし、いろいろ学ぶことがあります。楽しさや喜びだけでなく、苦労や困難さえも今は自分自身を彩る人生の一部だと思います。

 

 

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