牧野標本館

牧野標本館とは、植物学者牧野富太郎博士の植物標本を収めるために作られた施設です。ここは、生命科学科の植物系統分類学研究室の教員を中心として運営されています。

旧東京都立大学時代の牧野標本館

牧野標本館が成立したのは、旧東京都立大学時代、それも深沢にキャンパスがあった1958年のことでした。

植物学者として著名な牧野富太郎が収集した植物標本約40万点が、名誉都民であった縁から東京都に寄贈され、さらに都は旧都立大にその受け入れを打診しました。受け入れのため、深沢キャンパスに施設を建築する事となり、1958年に竣工、発足したのが、この牧野標本館です。

当然、館を発足させてひと段落ということはなく、この標本の整理作業から始める必要がありました。当初は理学部付属機関として助手一名が配属されたのみでしたが、1960年には助教授1名、助手2名に増加するなど、徐々に体制を整えていきました。1982年には教授1名を加えて植物系統分類学講座が発足、これは現在の研究室と捉えてよいでしょう。この植物系統分類学講座の教員が牧野標本館の運営も担当する事となりました。

当時の牧野標本館は、深沢キャンパスに位置し、鉄筋コンクリート2階建て、延べ床面積およそ503㎡、標本室の大きさはおよそ228㎡の広さで、標本管理の必要から防塵・防虫・防カビに配慮したものでした。

一方、1991年に旧都立大が南大沢へ移転すると、いうまでもなく牧野標本館も新築されました。新しい標本館は、2階建てで建築面積が1090㎡、標本室は約230㎡となりました。標本室の広さがさほど変わらない一方で、建築面積が約4倍近くになっているのは、新たに植物系統分類学講座・自然史講座の各教員の研究室や、写真室・セミナー室などが設置されたためでした。

このような中で、牧野標本館は1997年段階では整理済み標本35万点、未整理標本10万点を所蔵、牧野富太郎博士の標本だけでなく、小笠原諸島の植物標本など、学内外から収集・寄贈された標本も所蔵しています。

首都大学東京成立後の牧野標本館

2005年の首都大学東京発足後、大きな変化といえるのが、20182月に完成した牧野標本館別館でしょう。牧野標本館の向かい側、情報処理棟の東隣に新たに建設された建物で、鉄筋コンクリート2階建てで、建築面積約832㎡の規模となっています。新たな標本庫には種子植物標本が移され、増加する植物標本の管理に対応しています。ちなみに増加する標本という点では、20173月段階での整理済み標本点数は約55万点を数えています。

また、標本館別館にはTMUギャラリーという施設も設けられ、こちらでは生物学に限らず、学内の様々な分野が期間限定の展示を行うことができるスペースとなっています。

 

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