学芸員養成課程展示室は、南大沢キャンパス西端に所在します。大学博物館と言われることもあるようですが、厳密にはそのような位置づけはなされておらず、あくまでも博物館の学芸員を養成するための展示室です。
91年館とは?
この展示室は、南大沢キャンパスの2号館に隣接する91年館にあります。この91年館はその名の通り、1991年に旧東京都立大学が目黒・深沢から南大沢へキャンパスを移転した際に”大学と周辺住民とをつなぐ施設”として建てられました。このコンセプトは施設の形にも表れています。通常、学内の建物はキャンパス内からのみ出入りが可能ですが、当時都民カレッジが入居していた現2号館と、この91年館の2つの建物は学外からも直接出入りが可能です。
91年館は、しばらくの間は教職員のラウンジのような使われ方をしていたといいます。それが変わったのが、2012年のことでした。当時、学芸員資格取得に必要な学内実習に対応する展示室を必要としていた大学は、91年館に白羽の矢を立てました。設けた展示室を授業で使うだけで無く、学外へも公開することを視野に入れていたため、学内外双方から出入りが可能な建物であったという点は都合が良いものだったと考えられます。
展示について
学芸員養成課程展示室は、日本史学、考古学、社会人類学、動物学、植物学、地理学、芸術学の7分野が所蔵するコレクション等の常設展示があります。これらは大学を網羅したものではなく、あくまで養成課程に関わる分野の展示だそうです。
これ以外で注目されるのが、丸木舟です。地域新聞ショッパー電子版によると、2019年7月に台湾から与那国島への実験航海で使用された丸木舟を所蔵しており、近いうちの公開を目指しているとされています。
一方で展示されていないものとしては、大学の歴史が挙げられます。この展示室はあくまで学芸員資格の実習のための施設であって、大学史はその内容に含まれないと考えられますが、せっかくの展示室がもったいない気もします。