6月1日は、旧東京都立大学の開学記念日でした。では、その開学の経緯を辿ってみましょう。
都立6高専の大学昇格運動
戦後すぐ、教育改革により現在の6-3-3-4の教育体系が出来上がると、東京都立の6高専の大学昇格への運動が始まりました。この都立6高専とは、「都立高等学校」の他、「都立工業専門学校」「都立化学工業専門学校」「都立理工専門学校」「都立女子専門学校」「都立機械工業専門学校」のことを指します。
都立女子専門学校の女子大昇格運動に端を発したこの運動は、1947年に「都立綜合大学準備委員会」の発足で具体化しました。翌年には文部省へ大学の設置認可の申請を提出し、さらにその翌年1949年、東京都立大学の設置が認可されました。
発足直後の旧東京都立大学
当初の学部は人文学部、理学部(以上目黒キャンパス:都立高等学校所在地)、工学部(鮫洲校舎:都立工業専門学校所在地)からなっており、また「夜間」(のちのB類)の設定もなされていました。教員としては半数以上が旧6高専の教員から採用されており、全てではないものの、母体となった6高専の校舎や人員を引き継ぐ形となっていました。
そして同年の1949年4月5日から入学試験、5月15日に入学式が行われました。その後6月1日に開学式を迎え、「東京都立大学」が開学しました。だからこそ、この6月1日が旧東京都立大学の「開学記念日」となったのです。
6月1日が開学記念日な理由
ところで、5月に入学式も行われたのに、6月1日がなぜ開学記念日なのでしょうか。五唐勝氏(元人文学部教授)の「大学が出来上がるまでの回想」によると、初代総長の柴田雄次氏が、「はんぱはおもしろくない」と発言して決まったそうです。なので、「開学の日」ではなく、あくまで「開学記念日」なのだそうです。
このように旧東京都立大学が成立した一方、母体となった6高専は、1952年3月の都立女子専門学校の廃校をもって、全てが閉校しました。
※写真は旧目黒キャンパスの跡地にできた「めぐろ区民キャンパス」に残る、旧東京都立大学の正門の跡です。