東京都立大学の学部構成の変遷

旧東京都立大学の学部変遷の歴史をたどってみましょう。

「講座制」とは?

旧東京都立大学の歴史を見ると、講座制という単語がよく出てきます。最近では耳慣れないこの講座制ですが、これは各学科や専攻の下に置かれ、おおむね一講座に教授、助教授、助手が在籍、教育編成の基礎を形成していました。現在でいうと研究室が近い概念でしょうか。たとえば、工学部には材料力学、熱機関工学、電磁気学、構造工学、金属組織学、無機工業化学の6講座が置かれる、といった具合です。

開学時の学部構成

1949年の開学時の学部編成は3学部33講座とされ、以下の通りでした。

  • 人文学部 社会学専攻、文学専攻
  • 理学部  数学科、物理学科、化学科、生物学科
  • 工学部  機械工学科、電気工学科、建築工学科、工業化学科

とくに人文学部では学科が存在しておらず、事実上の1学科制ということができます。当時は専門を深めることも、広く学ぶこともできる「教養主義」的な理念がありました。

3学部から5学部へ

ところが1953年になるとその見直しが始まり、人文学部では「人文学専攻」「法学専攻」「経済学専攻」が設置されました。すなわち、当初は法学・経済学も人文学部に含まれていた、ということになります。また「人文学専攻」は「哲学」「社会学」「史学」「国文学」「英文学」「独文学」「仏文学」の7学系に分かれており、翌54年には「教育学」「心理学」「中国文学」が追加されました。1957年には先の「法学専攻」「経済学専攻」が分離独立して「法経学部」(法学科、経済学科)が成立し、人文学部では「人文科学科」(社会学、哲学、史学、心理学、教育学専攻)と「文学科」(国文学、中国文学、英文学、独文学、仏文学専攻)が成立しました。

さらにその後1966年には「法経学部」がそれぞれ「法学部」(法学科、政治学科)、「経済学部」(経済学科)になり、人文、法、経済、理、工の5学部の体制が完成することになります。

一方工学部では1951年に工学部別科を立ち上げました。これは実技教育を主とするものでしたが、54年に独立して東京都立工業短期大学となり、のちに東京都立科学技術大学へとつながっていきます。1956年に工学部の「建設工学科」が「土木工学科」と「建築工学科」に分離しましたが、理学部では1961年に「地理学科」が増設され、それぞれ5学科の編成が確立しました。

キャンパス移転後の講座再編

1991年、大学が南大沢に移転するに伴い、学科構成が再編、人文科学科を分割するなどして5学部21学科となりました。また講座も学生定員増にともない、全学で159講座から193講座まで増加しました。98年にはその講座を、教授、助教授が複数配置される大講座へと再編、71講座となりました。これは新しい研究分野への柔軟な対応を目的としたものでした。

結果、旧東京都立大学の閉学時に近い学部学科構成は、以下のようになっていました。

人文学部 哲学科、史学科、心理・教育学科(心理学、教育学専攻)、社会学科、社会福祉学科、文学科(国文学、中国文学、英文学、独文学、仏文学専攻)
法学部 法律学科、政治学科
経済学部 経済学科
理学部 数学、物理学、化学、生物化学、地理化学、身体運動化学専攻
工学部 機械工学科、電気工学科、土木工学科、建築学科、応用科学科、精密機械工学科、電子・情報工学科
都市科学研究科 ※大学院のみ

 

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