都民カレッジ

「都民カレッジ」とは?

「都民カレッジ」とは、その名の通り、都民へ生涯学習の場を提供することを目的に、「社会に開かれた大学」として1991年に開設されました。旧東京都立大学の公開講座としての側面とともに、東京都の生涯学習機関としての側面を持っており、旧東京都立大学からは教員の派遣・教室設備の提供、東京都からは財政支援・都の病院などからの講師派遣・広報活動が行われていました。

この都民カレッジに関する構想は古く、1974年にさかのぼります。当時は大学の立川への移転も話題になっており、「社会に対して開かれた大学の在り方」をコンセプトとし、「都民大学構想」として検討されました。ただし構想の中身は異なっており、社会人を対象としたコースを作り、大学卒業資格を与える、というものでした。この構想は、当時検討されていたキャンパスの立川移転がとん挫したことにより、具体化はしませんでした。

1984年、南大沢へのキャンパス移転が具体化するにつれて、「都民大学」構想も再び検討が始まり、87年には①学校制度にとらわれない自発的な学習を目的とする大学レベルの生涯学習機関、②単位認定や資格授与は行わない、③(旧)東京都立大学が所管するが財団法人とするのが望ましい、という基本路線が出来上がりました。また名称を「都民カレッジ」とすること、運営のための財団法人を設立することも順次決定しました(199010月に財団法人都民カレッジを設立)。

こうして都民カレッジは、19915月、南大沢キャンパスの都民カレッジ棟(現:2号館)に設置され、続いて10月には丸の内キャンパス(東京都丸の内庁舎)が置かれました。なお、96年には南大沢の都民カレッジ棟から駅前のパオレビルへ移転、丸の内は97年に東京国際フォーラムへとそれぞれ移転しています。

その後都民カレッジは、東京都からの要請で1999年に財団法人東京都教育文化財団と統合され、東京都生涯学習文化財団(現:公益財団法人東京都スポーツ文化事業団)となりましたが、2001年に東京都の行政改革により、惜しまれながらも閉校しました。

受講者と講座

受講者は4060代の年齢層を中心に、初年度は6,000名弱からスタートし、1997年には13,000名が受講しました。科目は「江戸・東京」「現代社会」「歴史・文化」を中心に、「自然・科学」「技術と情報」など8つの科目群で開講され、初年度には147科目を開講、1998年度には342科目を開講していました。その基本的なレベルは大学の教養科目が中心となっていましたが、なかには専門課程を念頭に置いた講座も開催されていました。講義を担当したのは当初は半数近くが旧東京都立大学の教員でしたが、その後は元教員や卒業生、他大学の教員、各研究者など、多様化していきました。

プレミアムカレッジとは無関係

2019年には、首都大学東京において「プレミアムカレッジ」が、かつて都民カレッジが置かれた2号館に設置されましたが、これと都民カレッジとの繋がりはありません。冒頭で述べたように、「都民カレッジ」が「社会に開かれた大学」をコンセプトとしたことに対し、「プレミアムカレッジ」には警備員が配置され、出入りを固く制限している点(写真)は、それを象徴的に表しているといえそうです。

 

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