2020.8.31-9.3

メンバー:小林(記)、王鞍(OB)


30日 扇沢駅市営駐車場2330


31日 扇沢駅0730ー黒部ダム0746-内蔵助谷出合0900ー内蔵助平1030-ハシゴ谷乗越1200ー真砂沢ロッジ1300-熊の岩1630


1日 熊の岩0445-ⅤⅥ峰のコル0500ー八ッ峰の頭0630-三の窓0730ーチンネ左稜線基部0800ーチンネの頭1130ー剱岳山頂1245-熊の岩1500


2日 熊の岩0400ー源次郎尾根基部0640ー中央バンドへの分岐0730ー成城大ルート0830-Ⅰ峰1100ーⅡ峰1125ー熊の岩1245-真砂沢ロッジ1500-ハシゴ谷乗越1700-内蔵助平1800


3日 内蔵助平0530-内蔵助谷出合0700-黒部ダム0820




ご無沙汰しております。晴れて院進し、現在M1の小林です。
以前より行ってみたいと考えていた剱岳に、3泊4日の定着アルパイン山行という形で行ってきました。
パートナーは、去年山岳部を卒業した王鞍さんです。最近は小川山で登りまくっているそうで、もう少しでエクセレントパワーが登れそうらしい。(強すぎ...)


話は変わりますが、この山行が今年度初の投稿となっている通り、年度始めから部山行は行われていません。
これは大学のコロナ対策により、部としての活動が制限されているからです。なので、この山行はあくまで個人的な山行としてご理解いただけますと幸いです。




Day0 (8/30)
王鞍車で扇沢駅の市営無料駐車場までアップローチ。
翌日の準備を少しだけして、久々の山行を無事こなせるだろうかと不安を抱えながら眠りについた。


Day1 (8/31)
バスの出発時間に合わせて6時起床し、引きたてのコーヒーを飲みながらゆったりと装備の確認を行い出発。
扇沢駅からは、電気バスで15分ほどで黒部ダム駅に到着。
個人的には、以前NHKで放送していた「プロジェクトX」の、大町トンネル・黒部ダムの回を見て土木工学科を目指していたくらいなので、実際に訪れることができて、内心かなり感動していた。
剱岳方面の出口がわからずウロウロしていたところ、係員の方に丁寧に教えていただいた。
前日の早朝にダム付近で熊が出たということも教えていただいたので、警戒しながら8時ごろ黒部ダムを出発。
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登山道から見上げる黒部ダム



元々の計画では、14時ごろまでに熊の岩に到着してⅥ峰フェースを登攀する予定だったため、スタートからアクセル全開で飛ばしまくる。
ただ、クライミング道具一式と4日間分の食料を2人で分担しているので荷物が重く、内蔵助平につく頃には2人ともかなり息が上がっていた。それに加え、太陽が出てくると風がなくかなり気温が高く感じた。
ハシゴ谷乗越まで続くかなりの急登を、文字通り這いつくばいながら登っていく。ダムからハシゴ谷乗越まではコースタイムの70%といいペースで登ることが出来た。
そこから、また急登を下り真砂沢ロッジへ。真砂沢ロッジを過ぎたあたりから徐々に雪渓がみられたが、この時期ということもありぼろぼろの状態であった。
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長次郎谷に入ると下部に関しては同じく雪渓が崩壊していたものの、王鞍さんの巧みなルート取りにより何とか突破し、上部雪渓を辿ってベースとする予定の熊の岩まで駆け上がる。これまで蓄積した疲労により長次郎谷の登りでかなり時間がかかってしまい、予定時間をオーバーしたためⅥ峰フェースは断念することに。
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初日の夕食は、王鞍さんが自ら捌いた鹿肉を使用した野菜炒め。ショウガとニンニクが利いていて、米がすすむ一品だった。
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熊の岩は長次郎谷上部に位置しているため、絶景が見渡せる。テントの入り口を開けて、夕日で赤くなった雲と満月のコラボレーションを見ながら就寝。
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Day2 (9/1)
3時半ごろ起床し、昨日多めに炊いておいた米でお茶漬けを作る。
サブザックに登攀に必要な道具だけを詰め込んで5時前に出発。


この日は八ッ峰上半部を縦走したのちに、チンネ左稜線を上る計画だったため、まずⅤⅥのコルに向けて下降する。コルからは踏み跡をトレースしながらアップダウンを繰り返して登っていく。重装備から解放されたためか体が軽く、どんどんスピードアップしていく。
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岩は硬く安定していて特に難しいセクションもなかったため、ロープを出すことなく通常の半分の時間で八ッ峰の頭に到着。熊の岩からチンネ方面までのアップローチとしては、かなりいいルートだと思う。
八ッ峰の頭からは、池谷ガリー側にクライムダウンした先で懸垂点を発見したので、そこから30m懸垂しガリーに降りる。
池ノ谷ガリーは非常にガレていたので、2人の距離を開けないように気を付けながら三の窓まで下る。

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三の窓を三の窓雪渓側に少し巻くと、チンネ左稜線の取り付きに到着した。
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今山行において初のクライミングということでテンションが上がる。

このルートはトポに12ピッチと記載されておりかなり長いため、60mロープの利点を生かして適宜ピッチをつなぎながら登っていく。また、難易度的には核心の鼻以外難しくないので、ほとんど支点を取らずにロープの流れをよくすることで時間短縮を図った。
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核心の鼻に関しても、周囲がガスってしまい高度感がなくあまり楽しめなかった。
ちなみに王鞍さんは今山行を通して、クライミングシューズを使用せずにアプローチシューズで登るという余裕を見せていた。
3時間半ほどでチンネ頂上へ抜けて、そこから本峰方面に進みコルから池ノ谷ガリーへ降り、池ノ谷乗越まで登り返す。
時間がかなり余っていたので、今日山頂を踏んでおこうということになり、北方稜線をたどり剱岳山頂へ。
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いまだに時間がかなり余っていたので山頂でダラダラ休憩し、稜線の途中でもダラダラ休憩し、熊の岩直上まで続く尾根をダラダラ下っていると枯滝の上部に行き着いた。普通にクライムダウンできるだろうと考えて下降を開始したが、凹角状にはなっているものの、苔がひどく傾斜もきついので、ところどころ際どいクライムダウンが出てくる。
たぶん、いや絶対左稜線より難しかった。冷や汗をかきながらなんとか下り、熊の岩に無事帰還したが、さすがに気を抜きすぎていたと反省。


この日の夕飯は、王鞍さん作のナスの入ったミートソースパスタ。川上村産のナスに油がしみ込んでいてとてもおいしかった。


稜線上で電波が入ったときに天気を確認すると、台風の影響で最終日が暴風の予報だったため明日中に内蔵助平まで下ることに決めた。
翌日は長い一日になるのだろうと気合を入れ直して眠りにつく。


Day3 (9/2)
この日は源次郎尾根Ⅰ峰上部岩壁成城大ルート(長い...)を上り、熊の岩で荷物を回収したのちに内蔵助平まで下る予定なので、なるべく早く行動開始するために午前3時に起床。
山で定番の棒ラーメンを食べて出発。今回は水を多めに使ったのでそこまでマズくはなかった。


まずは源次郎尾根取り付きに向けて長次郎谷を下降する。
雪渓が不安定な箇所は、スノーブリッジ下を潜り抜けるように進む。
さながら地底探検のような景色だった。
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長次郎谷出合い付近でピンクテープ沿いに剣沢を横断し、右岸にある夏道をトレースして、平蔵谷出合の少し手前で左岸にある源次郎尾根の左末端に乗る。源次郎尾根自体は踏み跡がくっきりとあり、非常に快適であった。
1時間かからずにⅠ峰上部岩壁下部の中央バンドへの分岐に到着。
分岐からは威圧的にそびえるⅠ峰上部岩壁の全体を眺めることができた。
成城大ルートはブッシュの少ないこの壁の左側を登る。
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分岐からいったん下降し、踏み跡なのか判然としないハイマツ帯を直線的にトラバースするが、ハイマツが密すぎてハーネスやザックに絡みつきなかなか進めない。仕方がないのでザックを脱いで、上にぶん投げながら何とか突破。ハイマツを完璧なほどに隙間なく植えた植木職人を恨みつつ先へ進む。

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さらに左にトラバースして、凹角状を登り草付きを詰めていくと、成城大ルートの取り付きにたどり着いた。
通常はここからクライミング開始となるが、簡単そうだということで1ピッチ目はロープを出さず登り、2、3ピッチ目は王鞍さんがほぼ支点を取らない作戦でつなげてリードをすることで時間短縮を図った。このルートの核心である4ピッチ目は自分がリードさせてもらったが、せっかくなのでNP縛りで登ってみることにした。このピッチは、左上するクラックをつなげていく構成なので、残置を使わずとも自然に登ることが出来た。
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5,6ピッチ目は垂壁を超えた後に草付きに入り、あとは適当に尾根を目指して直登すると縦走路に出た。2時間半ほどで完登できたので、なかなかいいペースで登れていたようだ。
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Ⅰ峰頂上までは一瞬で到着し、Ⅱ峰への登り返しも軽快に進む。昨日剱岳山頂は踏んでいるので、Ⅱ峰頂上からの懸垂点直下のコルから熊の岩へ向けて下降する。9時間ぶりに熊の岩に到着したが、今日中に内蔵助平まで降りなくてはいけないので急いで準備をして長次郎谷を下る。この日の朝にも通っているので、完璧なルートどりで剱沢との出合までくだる。そこからは行きにも通った登山道を無心でトレースするだけで、気が付いたら内蔵助平に到着していた。結局この日は14時間を超える行動時間となっていた。
もうろうとする意識の中、ふかふかの雑草の上にツェルトを設営し、自分が持参したレトルトカレーとソーセージを食べて、倒れこむようにシュラフへ潜った。

Day4 (9/3)

この日は黒部ダムまで3時間ほどなのでゆったり4時半に起床する。安定の棒ラーメンを食べて出発。
最終日ということもあり荷物が軽く、黒部ダムまでは一瞬で到着した。
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ダムの入り口付近で作業員の方から、前日にまた熊が出没したと聞き、2回もニアミスしていたことに驚いた。
この時期の黒部には熊鈴を持っていった方がよさそうだ。
自分たち以外誰もいない電気バスに乗り込み、今山行は無事終了した。




今回の山行は数年ぶりの定着アルパイン山行だったため、クライミング技術の飛躍的な向上を実感できた。
具体的には、今回程度の難易度であれば、支点の省略や各ピッチのリンクを行うことでかなりの時間短縮ができた点や、成城大ルートの核心部で残置に頼らずNPのみで登れた点だ。
時間短縮が可能となれば、山行全体での余裕度が上がり安全性もより高まるし、NPがうまく使いこなせれば不確実な残置に命を預ける必要がなくなるため、アルパイン山行を行う上でもフリーの能力は高いに越したことはないと改めて認識できた。
この4年ほどで積み上げてきたスポートや、ここ1年でのトラッドの経験は無駄ではなかったようだ。
体力面に関しては、終始疲れていたが、ペースをコントロールすることで楽になる場面があったため、がむしゃらに飛ばすだけではなくしっかりと山行全体でのペースメイクを行うことで、結果的に早く着く場合もあるのではないかと思う。
もちろん自粛期間の影響なのか、圧倒的に体力不足ではあったので、今年の冬を目標にトレーニングを継続していきたい。


ブログを書きながら「日本の岩場」を眺めていたら、登りたいルートがまだたくさんあったので、この夏中にもう一回くらいどこかに出かけようかな。(一緒に行ってくれる方は小林まで)

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