2010年 人文社会学部卒業
2006年:TBA、バドミントン部
2007-2009年: Cap⁵(団体創設者)
その後、海外の新規事業立ち上げ、セミナー企画・運営の業務委託、健康事業に携わる
2016年 出産後に夫の仕事の都合でシンガポールに移住、Mothers' Earth Communityを立ち上げる
仕事について
(詳細はこちらをご覧ください→https://mothersearthcommunity.jimdofree.com/)
現在、4年間で開催したイベントは134回(2020.1時点)、グループ登録者数は380名となっています。はじめは、自然派育児をキーワードとして、シンガポールのみで開催していたコミュニティでしたが、世界中から参加したいとの声を受けて、オンラインとオフラインの併用で開催を続けています。 立ち上げ当初は1人で全てを回していましたが、第二子の妊娠をきっかけに1年後にはチームを作ることとなり、その後3年間で関わってくれたメンバーは総勢24名、現在は8人のサポートメンバーと共に活動をしています。
私は、自然派育児にまつわる食と子育てのプロフェッショナルの講師の方をお迎えして、イベントをオーガナイズをする立場でもあり、講師としてお話をさせていただくこともあります。企画から告知、集客、開催、当日運営、参加者のフォローまで、サポートメンバーと役割分担をして行っています。サポートメンバー全員が小さいお子さんのいるお母さんで、ミーティングも子連れでやりますし、それぞれが子育ての合間を縫って連携しながら活動しています。
シンガポールに来た時に、私には0歳9か月の息子がいました。現地にはお友達が一人しかおらず、せっかく新たな土地でお友達を作っていくのであれば、似たような価値観の方と出会いたい、一緒に子育てしたいと思っていました。 私は、子どもが産まれてから「地球に優しく、体にも優しい、ナチュラルな暮らしを選択をしたい」と考えていました。その時に【自然派育児】という言葉に出会い、感銘を受けました。
そこで、そのような価値観のコミュニティや、子連れで学べる講座をシンガポールで探したのですが、残念ながら当時は思ったような場所を見つけることができませんでした。
同じ価値観のママ友と出逢いたい!もっと自然派育児について学びたい!それなら、作ってみたらどうか?という気持ちで、自分でコミュニティを立ち上げることにしました。
現在、立ち上げから4年経ちましたが、真剣に子育てに向き合い、明るい未来のために行動したいというようなお母さんばかりが集まる、本当に素晴らしい場になっています。
最初は私の友達から広げていき、その後は口コミでどんどん広まっていきました。はじめの3か月は「うまくいけば続ける、うまくいかなければ辞めればよい」という気持ちで考えていましたが、参加した方が喜んでくださりこの場所にニーズがあることを感じ、現在に至ります。
当初は、シンガポールに来たばかりで右も左も分からない中で、自分の自然派育児をしたいという考えを、はっきり前に出す事に抵抗がなかったわけではありません。自然派育児をする人はまだまだ少数派で、「変な人」と思われるかもしれないと思いながらも、せっかく新しい土地に来たのだから、やりたい事をやってみようという気持ちでスタートしました。
―菜穂子さんが講師をされる勉強会は具体的にどのようなことをしているのですか?
安心安全な食べ物の選び方や、薬や病院に頼りすぎない家庭でのお手当、身体の仕組みについてです。スーパーマーケットにいって買い物の仕方や、表示の見方、ローカルフードの取り入れ方についてお伝えすることもあります。
また、波瀾万丈な実体験を踏まえて、夫婦関係を風通しの良いものにする為のパートナーシップ講座も開催しています。大変な時期がたくさんあったからこそ、なんでも話し合える関係になり、そんなご夫婦が増えたらいいな思って開催をしています。
リアルの会場のみでやっていた時期もありますが、現在ではオンラインとリアル会場をくみ合わせながらハイブリッドで開催し、全世界の日本人のお母さんに、ご参加頂いています。
―以前から、イベント企画のお仕事をされていたのですか?
そうなんです。新卒で入社した会社が、経営者向けのセミナーを企画運営をする会社でした。ですので、300〜6000名規模のイベント運営やセミナー企画を仕事で沢山行っていました。
入社3年目に、中小企業の経営者向けのコミュニティー(マーケティングについて学び、ジョイントベンチャーをすることができる場)を新規で企画から立ち上げる経験をさせてもらったんです。そこで得たスキルと経験を、母となった今の私の興味と結びつけて、お母さんのための場を作れるのではないかと考えました。
学生時代について
―学生時代からイベント運営に興味があったのですか?
学生時代も同じようなことをしていました。実は、ファッションショーサークル Cap⁵ を立ち上げたのも私です。初代の代表でした。
学生時代から自分で何かを立ち上げることがすごく好きでした。その延長線上で、セミナー運営ができる会社に新卒入社しました。そしてその経験が、今のMothers’ Earth Community立ち上げに活きています。
―そうだったのですね! Cap⁵ を立ち上げようと思ったきっかけは何ですか!?
大学1年生の時に、TBA製作委員会(東京都立大学ミス&ミスターコン製作委員会)に入って、先輩から大きな刺激を受けたことがきっかけです。
大学生ってこんなにすごいんだ!!こんなことができてしまうんだ!!と、先輩や同期のメンバーに憧れ、自分もそんな風になってみたいと思うようになりました。
そして、自分が描く「人の心を動かせるような舞台」を表現してみたいと思うようになりました。
ストーリー性があって、作り手である運営側、受け手の観客、舞台にたっているモデルの3つの立場の人が1つになって、その場にいる全員が同じ気持ちで感動できる空間を作りたいと思ったのが始まりです。
2007年の第一回目の開催では、350人収容のホールで2公演し、700名の方に見ていただきましたが、泣いてくださる方もいて、大成功を収めることができました。
でも、見てくれたお客さんから「よかったよ!」と言われるよりも、関わってくれたスタッフ・モデルのみんなから「関われて本当によかった!!」と、泣きながら言ってもらった事が、一番うれしかったですね。
―立ち上げ時にはどんなことに苦労しましたか?
前例がないところから始めたので、一緒に作りあげる仲間との意見の食い違いや、チームを一つにまとめて進んでいく事に苦労しましたね。ありがたい事にみんな真剣で、だからこそあらゆる意見や考え方に食い違いもあり、それを1つにまとめる事は簡単ではありませんでした。メンバーのモチベーションが下がらないようにする事、チームとしてどうまとまっていくのかにも悩みました。私も自分の実現したい世界観があったので、話し合いはとても長引きました。
歴史があるサークルと違って、前例がないということは、頼りにできるものは自分たちだけ。自分たちで道を開拓していかないといけない、まさに獣道でした(笑)でもその過程はすごく楽しかったです。
―立ち上げは何人で行ったのですか?
立ち上げメンバーは5人、全員女性でした。女の子が集まったバワーはすごい!ということを表現したかったということもあり、女性ならではの組織の作り方をしました。
その後、一緒にショーを作り上るスタッフ募集をして、服を作ったりモデルのウォーキングを考えたり、企画をする20人のチームになりました。そしてモデルを募集し、音響・照明、舞台設計、メイク・ヘアメイクを担当してくれる美容師さんをあわせて、総勢70人ほどの組織となりました。
私は代表として、メンバーにビジョンを示し、前にすすまないといけません。ですが、知らない事、やったことがない事の連続で、全てが手探りでした。
大学としても前例のない初の試みで、服飾系の学部でもない全くの素人集団です。ですが、それでも「やりたい!!楽しそう!!」という気持ちだけで、前に進みました。
服を作り、ウォーキングを指導し、照明音響などの演出・構成を考え、パンフレットやチケットも作り、ステージの大道具作り・・・専門学校生から服の作り方を教えてもらったり、ファッションショーを見に行ったり、劇団サークルの人に大道具作りを手伝ってもらったり、お友達に音響照明を依頼したり、協賛企業を募って布代やパンフレッド代を集めたり。できることはなんでもした記憶があります。
「私はここまでしかできない」ということを決めずに、とにかく何でもやってみた。この経験は宝物です。限界は自分で決めるもの。がむしゃらに進んで、振り返ってみたら、すごいことができちゃった!と思っています。
―菜穂子さんのその行動力の源泉は何ですか?
思い描いたビジョン、妄想していた事が形になっていくのを見るのが、たまらなくうれしかったですね。いつも、ドキドキワクワクした気持ちでした。
立ち上げを決めたときは、実は周囲から「できるわけない」と批判もありましたが、批判されることで「絶対にやり遂げる」と、より意志は強くなっていきました。
1人やるのではなく、仲間を企画にどんどん巻き込んでやった事も大きいです。「1人ではできないことも皆とだったらできる、一緒に作り上げたい!」という気持ちがありました。当時は、“絶対やる”と決めていたし、巻き込んでいる人数もどんどん増えてきて、だからこそ私も腹をくくれたのだと思います。“辞める”という選択肢はなかったですね。
常に限界ギリギリで、夜遅くまで活動する毎日過ごしていた記憶があります。
実は同じような感覚で、社会人になってからも仕事にも取り組みました。できる限りのことを「やり切った」という自負があります。だからこそ、終電まで働くほど仕事が大好きだった私が、潔く仕事を辞めて夫についてシンガポールについていく行く決断ができました。
女性にはキャリアにおいて、男性と比べられないくらい選択を迫られる場面が多くあると思います。ただし、その時にやっていた事に対して「やり切った」気持ちがあれば、潔くそれを捨てられる。未練なく前に進めるのではないかと思うのです。だからこそ私は、その時やっていること、出会う人とのご縁を大切に、全力を出し切ることを心に決めています。
就活内容について
―どうやって会社を選びましたか?
就活を始めた時、先輩や社会人の方から沢山話を聞きました。しかし逆に沢山の話を聞いた事で、どんな仕事も魅力的に聞こえ、何をしたいのか絞れなくなってしまったのです。
そこで私は沢山の企業説明会に参加しました。 というのも、ホームページの情報よりも、自分の目で見ることをとても大切にしていたからです。
さかのぼると、高校受験で受験校選びに悩む私へ、母から言われたアドバイスが原点です。そのアドバイスとは「自分の目で見て、判断しなさい」というもの。そうするとどんな選択も「自分で決めた!」という納得感を持つことができます。どんな時も、悩んだらとにかく自分の目で見る、肌で感じる、足を動かすことが私のポリシーです。
なので説明会にもたくさん参加して、そこにいる人を見て、自分の肌感覚で合う・合わないを判断し、受ける企業を絞っていきました。
実際、私も過去に人事として採用をやっていたこともあるのでわかるのですが、企業にとってホームページは集客のツール、良いことしか書きません。表面的な情報だけを見て判断せず、ぜひ実際に社員さんの話を聞いて欲しいです。
世の中には、自分が知らない仕事が沢山あります。私は「就職活動生」という特権を利用して、多くの社会人や経営者と触れ、仕事に対する価値観について聞かせてもらいました。そのことで、未知の世界を垣間見る事ができ、選択肢が広がったと感じます。
そして就活も終盤に差し掛かり、何社か内定を頂いて悩んだ末に入社を決めた1社の企業で、数ヶ月インターンをしていました。しかしリーマンショックの影響による業績悪化を理由に、4年生の7月に内定が取り消しとなってしまい、またゼロからのスタートになってしまいました。
―そうだったのですね。どんな気持ちでしたか?
当時は焦りましたが、今では「内定取り消しをしてくれてありがとう」という気持ちです(笑)何故なら、その会社は事業内容というより社員さんに魅力を感じ、入社を決めていたからです。つまり人で選んでいました。もちろんどんな方と働くかは大切ですが、その人と働けるかは、会社が大きくなればなるほどわからないし、人は辞めていなくなる。人で選ぶのは長い目で見て本当に危なかったと思います。 内定取り消しから「これから何をしたいのか?どんな自分になりたいのか?」を改めて考えるチャンスをもらいました。
そこで私が考えたのが「どんな状況でも通用するスキルを身に着けられる、最速で成長できる会社に行きたい」ということ。そこで社員数30人未満のベンチャー企業に入社しました。
ベンチャーだからこそ、大企業では考えられないスピードで仕事を任せてもらい、結果を求められました。失敗歓迎の文化で、いろいろなことに挑戦させてもらいました。夫の海外転勤の都合で、退職するまでの3年間、ものすごく働きましたね。残業代込みの給与だったのにもかかわらず、土日も関係なく深夜1時まで働いていました。
自分が何を目指しているか?によると思いますが、自分がどこに行っても通用するスキルの土台を身に着けられたという意味で、この会社に入ってすごくよかったと思っています。
ひとつ言えるのは「新卒で入る会社はすごく大事」という事。なぜなら、自分の働く「基準」を作るからです。私が新卒入社したのは、スピードと結果を求められる会社でした。上司も先輩も同期も物凄く優秀でしたし、スピード感も早く、自分で考え行動する文化の会社でした。それが自分の当たり前となり、新卒の会社を辞めて他の会社に転職したときに、周りの仕事のスピードが遅く感じました。
つまり良くも悪くも、最初に入社する会社が自分の「基準」となります。働く基準が高ければ、あとから緩めることはいくらでもできます。私は今でも、この基準に助けられています。
―学生時代から今に繋がることが沢山あるんですね。
はい、そう思います。一見関係ない様にみえる経験も、不思議と全て繋がっています。今振り返ってみても、無駄なことは一つもありません。だから、今やっている目の前のこと、楽しいことも辛いことも、一つ一つを噛み締めて、大切にしてほしいなと思います。
たった一度の出会いが人生を変えることって、結構多いと思うのです。私がそうでした。だからこそ、どんな時もアンテナをはって、目の前の方との出会いを大切にしたいと思っています。
出会いもそうですが別れもそうで、会社を辞めるとき、サークルを離れるとき、その去り際こそ大切。出会ったご縁は、いつかまたどこかで出会うことがあるかもしれない。辞める時こそ適当にせず、感謝を伝えて、また次に進む。そうすることでご縁が思ってもいないようなところでつながってきます。連絡があるなしに関わらず、見てくれる人はずっと見てくれているし、応援してくれると思いますよ。
―最後に学生へメッセージをお願いします!
いま自由に使える時間が沢山あるのならば、ぜひ沢山の挑戦と失敗をして欲しい。そうすることで「自分の事を徹底的に知ること」ができると思うのです。
内にこもるより外に出る。人と関わり刺激を受ける。行動し続ける。
そうしていく中で【寝る間も惜しんでやりたいほど夢中になれること】がやっと見つかると思うのです。
そして、「自分ってこんな事もできたんだ」「これは苦手だな」という知らない自分に出逢えたり、「こんな人になりたい!」という目標ができたりする。
【自分のことがよくわかってる】って、どんな選択をする上でもとても大切なことです。就活でも転職でも、結婚でも出産でも、子育てをしていても思う事です。
みなさん「この選択をしてよかった!」と思いたいじゃないですか。そのためには「自分が何に対して心地いいと思うのか、幸せを感じるのか」を知っている必要があります。自分のことは他人は幸せにしてくれない、自分しか自分を幸せにできないですからね。
もしかすると、何かに挑戦することって、ハードルが高く聞こえるかもしれません。
でも私がお伝えしたいのは、やりたいことは軽い気持ちで、勢いで始めていいし、辞めたり逃げるのがカッコ悪い事ではないと思うのです。昔の私は、辞めることがカッコ悪いと思って挑戦できない時期がありましたが、今は逆に、失敗を恐れて何も行動しなかったり、やりたい事を先延ばしにする方が、長い目で見てリスクだなぁなんて思います。
2人の子どもを育てていて感じる事なのですが、子どもは本当に天才的で、自分のことをわかっている。大人が太刀打ちできない素晴らしい感性の塊で、自分に可能性しか感じていないし、なんでも挑戦します。
大人になり、経験を積む事で、逆に失われる感覚もあるのです。年齢を重ねるうちに、周りからの目や評価を気にしてしまったり、自分を低く見積もったりして、言い訳を考えるようになります。
だから、これからの人生で一番若い「今日」が一番、柔軟な判断ができて、挑戦がしやすい。だから今すぐ、やりたいことに挑戦してください!!
変化が求められるこれからの時代には、経験を積むことより新鮮な感性が必要です。5歳の子どものような感性でドキドキワクワクした気持ちでこの世界を見てみたら、きっとやりたいことを見つけやすいと思います。ピンときたことは、先延ばしにしないで、やりたいことはすぐ始めてみてください!私もやりたいことをやって、自分の願いをひとつひとつ叶えて、自分をもっともっと好きになりたいと思っています。
―今後の将来のビジョンや夢があれば教えてください。
やりたいことはたくさんあります!
でも将来のビジョンという形では、あえて描いていません。
学生の頃は、昔は5年後、10年後にはこうなりたいとキャリアプランをしっかり決めていました。でも、その通りには全くならなくて・・・(笑) その事に固執せずにどんどん形を変えていきました。時代も状況もどんどん変わっていきますし、コロナウィルスのように誰も予想しなかった出来事が起こります。 女性であれば、いつ妊娠・出産をするかもわからないし、未来は予測できない。
だから私がビジョンを描くのは1年後くらいまでです。さらにそれにも縛られず、「今、私は何にワクワクする?」という気持ちを大切にして、毎日を一生懸命に楽しく過ごしています。
登山に例えてみるならば、山頂つく(目標を達成をする)まで苦しい努力をするよりも、山道を歩くこと(プロセス)が楽しいことが重要。結局、天気や体調が理由で山頂につかなくて目標が達成されなかったとしても、その一瞬一瞬が楽しいことが大切だと思うのです。
私の中では「今どう感じてる?ワクワクしてる?」という事を常に自分に問いかけています。目の前の出来事や出会う人と、今、心から幸せな時間を過ごすことの連続が、私の人生です。
不安定な世の中だからこそ、やりたいことがあれば、すぐやります。私の中で「あとでやる」と思うことは、大抵やらないのです。自分のことをよく知って、やりたいことをすぐ現実にして「今を大事に」これからも過ごしていきたいと思っています。今を楽しむ天才の我が子2人から、教えてもらっていることばかりです。
時間があった学生が天国のように言われることもありますが、私にとっては社会人の方がずっと楽しいと思うし、結婚して子育てをしている今の方が「自由」を感じています。
ぜひ、今ワクワクする自分の正直な気持ちを感じながら、将来起こるライフステージの変化も楽しみに、過ごしてもらえたらなと思います!