第8回 好きなことから見つけた、化粧品WEBマーケターの仕事とは

B!
プロフィール
細野美薫さん

1992年群馬県出身/首都大学東京都市教養学部都市教養学科 理工学系物理学コース卒業
2015年化粧品メーカーに新卒入社/2017年に転職しコスメ・WEB業界のマーケティングに携わる(※取材時点)

コスメ・WEB業界の会社で働いているとお聞きしましたが、具体的にどんな仕事をされているんですか。

弊社には大きく、コスメのクチコミサイト、実店舗での化粧品販売、③ECサイトでの化粧品通販という3つのソリューションがあり、私は③ECサイトの部門でマーケティングを職務としています。

私の部署のミッションは、ECサイトでの売上拡大。そのために、様々な切り口でユーザーの行動を調査・分析して、その結果に応じてクーポンや広告などの施策を検討します。

 

―ユーザーの行動を調査するって、具体的にどうやってやるのでしょうか。 

楽天やamazonなどの大型ECサイトや、企業が自社ブランドのECサイトを運営しているケースはよくあります。弊社のECサイトの強みは、クチコミサイトというメディアを持ちながら、ネットとリアルの購買行動を可視化できるということ。

つまり、ユーザーの「このコスメが欲しい」から「実際にコスメを買う」という購買行動を詳細に分析することができるのです。さらには、クチコミの閲覧のみで購入に至っていないユーザーデータを分析して、そこから購入というアクションを促すためにどうすればいいかを考えます。

 

―細野さんは、前職も化粧品関係のお仕事とお聞きしましたが、なぜ転職をされたんですか。 

すこし順番が前後しますが就活のお話からさせてください。

就活するときは特に化粧品にこだわっていませんでした。エントリーする企業を決めるときは「会社の知名度」や「自分の好きな商品」で選択することはしないようにしていました。なぜなら、同じ業界でも企業によって事業は全く異なるし、入社後の配属で自分が携わる業務は180度変わってくるからです。

ではどんな軸で企業を選択したかというと、社風や事業のスピード感、2,3年目の先輩方の働き方です。女性である限り、いずれ働けない時期が来るならば、若いうちに「全力でやりきった!」と思える働き方をしたいと思っていました。

そうなると、実際に企業に足を運ばないと分からないことが多く、就活は業種を絞らず工場見学の気分でまわりまくりました(笑)。そこで企業が大切にしていることや働いている人の様子を見て、聞いて・・・その中で【自分が働くイメージ】をしてみたんです。

その結果、私が選択した企業は化粧品メーカーで、新卒に無茶振りと思うくらい何でもやらせてくれる企業でした。新卒一年目で企業の看板商品の商品企画に携われたことは本当に恵まれた環境だったと感謝しています。

そして、3年経った時に思い描いていたイメージを叶えることができたと思いました。ただ、まだ多くの人と関わりたいという想いと、新しいことに飛び込んでみたいとう想いが重なり、転職を決意しました。現職を選択した理由は、①これまでの経験や知識を活かせる、かつ新しい知識が得られる職場であったこと、②これまでに出会ったことがない新しい人達に出会える仕事であったことが大きな理由です。また、首都大の先輩の縁があったということも理由の1つですね。

 

 ―次の転職も考えてたりするんですか

現時点では考えていません。ただ、上長は私自身のキャリアを大事にしてくれる方で、

「この会社でやり切ったと思った後は、やりたいことが他にできたときに武器になるものをうちで培ってほしい。」と言ってくれたんです。

「あ、会社の一人材としてではなくて、私一人のキャリアを考えてくれている。素敵な企業だな。」と思った瞬間ですね。

 

―今後も化粧品に携わっていくのでしょうか。 

特にこだわってはいません。ただ、化粧品は消費材や食品より、販売戦略が多岐にわたるんです。

化粧品はある種嗜好品なので、単なる価格競争ではなく、高級感や自然派などのブランディング力や限定品などの企画力、購入頻度やライン買いなど。売上拡大のためのアプローチの幅にはものすごい可能性を感じます。

もちろん化粧品自体の種類も多いんです。弊社のECサイトで扱っているものだけで約2,000ブランドもあるんですよ。そのうえ、新作が次々にでるから日々増え続ける。情報が更新されるスピード感はものすごく早いです。

私は、ユーザーとして化粧品が好きだからいうより、商材として化粧品を扱うことに面白みを感じていますね。

就職活動について

―新卒からコスメの知識をすごく求められたりするんですか

新卒でコスメの知識はまったく問われません。単純に「コスメ大好きです!」といった志望動機はそんなにプラスにならないと思っています。

本人がユーザーとして化粧品が好きかどうかではなくて、世の中でこの化粧品が売れるかどうかという視点をもっていることが大事だと思います。

 

―美容系の会社は女性のイメージが強いですが、職場も華やかなんですか

オフィスは華やかですよ。女性が多いし常にトレンドを追っているので、身なりは気を使っている人が多いかな。ただ、実際の仕事は体力仕事や泥臭いこともありますよ(笑)

職場の女性も綺麗な方が多いですが、性格はみんなさっぱりしていて、まさにキャリアウーマンという感じです。

 

―なるほど…。会社が自分にあうかどうかはどう判断したらいいですか

実際、就活の段階で会える社員はごく一部ですが、会社説明会やOBOG訪問など、知り合いをつたって、たくさんの話を聞いてみてほしいです。組織の風土って本当に会社によって違うなって体感すると思います。

それから私は企業理念や事業計画も見てましたね。今後の事業のビジョンに共感できるかは仕事をしていく上で重要だし、その企業が大切にしていくものが見えるので。

 

ありがとうございます。私は化粧品が好きで、化粧品の仕事に携わりたいと思ってます。ただ、そこからどう業界を広げればいいかわからないのでアドバイスをください。

「化粧品になぜ携わりたいのか。」「何に興味をもっているのか。」「どう働きたいのか。」「それを介して自分は何がやりたいのか。」そういった視点で具体的に落とし込んでいくと、自ずと広がってくるはずです。「ただ好き」ってだけでは仕事はできないですからね。

 

なるほど。会社を選ぶときに規模はみたほうがいいですか。

自分が何を大事にしたいかを考えることが大切だと思います。

組織の中でのキャリアアップや大きな事業に携わることに興味があるなら大企業。一つのプロジェクトに関わる人数も予算額も大きい点にやりがいを感じると思います。

一方、規模の小さい企業だとその分柔軟性が上がります。組織に捉われずにチャレンジングな事業に携われるし、スピード感も早いです。自分の貢献度としてやりがいを感じることもできるのではと思います。

 

―どちらもメリットがあるんですね。ちなみに、インターンはいったほうがいいんでしょうか

インターンは上手く活用してほしいと思っています。就職前に企業の中に入れるのは企業を理解する一番のチャンスなので、本当に興味がある企業に絞ってインターンに行くのは有効だと思います。

ただ、「就活のためにインターン経験は必要か」という問いであれば必須ではないと思います。面接で問われるのは”就活のために活動した経験”ではなく、”その人自身の人となりや思考力”です。インターンに行っていたから有利とは一概には言えないですね。

私個人的には大学生の間にインターンに多くの時間を使うのはもったいないなと思います。これから何十年も働くのに、わざわざ学生のうちから働く必要があるのかと思いますね(笑)。

メリットとして周囲より就活が1歩進んでいるようにみえるので安心感を持てるかもしれませんが、実際長い目で見たら、その1歩の差はほぼ変わらないですよね。

それよりも自由に使える学生の時間をもっと有意義に過ごしてほしい!今しかできないことを!その時間をどう過ごしたかが就活でしっかり話せればそれで十分って思います

学生時代について

―学生時代どんなことをしていましたか

私は物理学コースだったのでもちろん研究は忙しかったですが、全力で学生時代を謳歌したと思っています。サークル活動でいろんな人と出会って、いろんなバイトを経験して、いろんな国に旅行したり、南米でカーニバルにでたり(笑)、大学生でしかできないことをたくさんしていました。

私が大事にしていたことは、将来の自分に何かをしてあげるのではなく、今の自分が楽しめること。何年後かの自分が大切にしたいものはその時にならないとわからないから、今の人生をその時にめいっぱい楽しんでいたいって思っています。

 

―後悔はありますか

ないです(笑)今までの選択の積み重ねで今この仕事してるんだなって思います。

欲を言えば、時間があるからこそ1か月九州に住んでみるとか、もっともっといろんな遊びができたなって思っています。

”遊びって言っても、毎日飲み歩くとかではなくて・・・今しかできない”遊び”ってその時々だと思うんです。その時々の最善の遊びをこれからも積み重ねていきたいですね。

 

―やりたいことはどうやって見つけているんですか

私のやりたいことの指標は、『自分がワクワクするか』どうかです。

自分の中を掘り下げていくと、好きなものって誰でもありますよね。私は、それをヒントに、やりたいことが見つかりそうな会社にいきました。就活の段階でやりたいことをしっかり決める必要はないと思います。

自分が好きなことを見つけて、「なんで自分はこれが好きなんだろう?」とどんどん掘り下げていってみてください。それがそのまま仕事にならなくても、楽しいと感じる要素がどこかで仕事とつながるかもしれないから。

 

―なるほど、参考にします。ありがとうございました

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