仕事について


ーありがとうございます。では次に、転職する以前のご職業と仕事内容を教えてください。

新卒で大手調査会社に入社しました。企業の信用調査を通じて、日本企業の様々な情報を集め、データベースを構築している企業です。

その中で、私は主にあらゆる中小企業の財務情報には表れない定性面の情報をいかに見える化し、金融機関や取引先に理解し評価してもらえるかというテーマを中心に調査したり、企業を支援している団体と一緒に研究会を行ったりする仕事をしていました。

ー国内外問わず、様々な企業の調査を行っているのですか?

基本的には、国内の企業が多いです。ただ、海外にも、その国ごとに企業のデータを持っている会社があるので、そのような会社と提携はしていましたね。

ーその会社に就職を決めた理由を教えてください。

学生時代に、知的資産経営報告書という見えざる資産の開示手法を論文に取り上げたことがきっかけです。

知的資産経営報告書とは、企業の、財務諸表に現れない企業のノウハウや技術、人材といった資産を見える化し、それらをどのように企業の価値創造につなげていくかを示す報告書のことです。

これは主に中小企業が作成している場合が多いのですが、その理由は、多くの中小企業は自社が保有しているノウハウなどをうまく認識し開示できず、その企業の強みを見える化できていないという課題が存在しているからです。

つまり、企業の強みを見える化するひとつの手段として、知的資産経営報告書を開示している中小企業が多いということですね。その知的資産経営を一番推し進めているのがその会社だったんです。

ーありがとうございます。では転職の理由はなんですか?

まずは、課題の洗い出しや企業の実態把握に留まらず、その課題解決の分野を極めたいという思いがありコンサルタントという職種を選定しました。

次に、なぜ組織・人の分野の企業を選定したかというと、知的資産というのは人的資産、組織資産、関係資産という3つの資産に分けることができるといわれています。

ただ、1社目の会社で業務を行っていく中で、3つの資産の中でもやはり人的資産がすべてのベースになっていることに気づき、企業で働く人にもう少しフォーカスしていきたいなと思いました。

もう一つ選ぶ軸として、四月から夜間のMBAに通うことが決まっていたので、夜に大学院に通うことが可能なコンサルティング会社というのは条件としてありました。

ー現在の会社の具体的な仕事内容を教えてください。

人事制度を構築する支援や、管理職・次世代リーダー育成、従業員の満足度調査など、人・組織にまつわる課題解決をする仕事です。

コンサルティングというと、顧客企業に常駐して支援をしていくイメージがある方もいるかもしれませんが、私の企業は、一人がいろいろな企業のプロジェクトを受け持って、月に何度かミーティングをしながら支援していく形式をとっています。

メーカーなど自社製品をもつ事業会社ではなく、企業の支援側で働きたい理由の一つに、色々な企業を見ていたいという思いがあります。

色々な企業を見ていれば、色々な人にも出会えるし、色々なビジネスモデルを知ることもできるので、自身の知見を広げる機会にも恵まれると思っています。

だから私は常駐型ではない今の形式が向いているかなと感じますね。

その企業のコンサルティングに本気で取り組むためには、企業自体を好きになることが大切だとは思いますね。

ーコンサルティング会社は、どのようにして依頼がくるのですか?

過去にご支援したお客様や、ホームページから問い合わせが来る形が多いです。

今の会社がグループ会社なので、グループの方が繋いでくれることもあります。飛び込み営業などはしないですね。

ー大企業と中小企業、どちらもコンサルティングの対象ですか?

主には大企業ですが、地方の中小企業とかも顧客によってはコンサルティングします。

ー転職はハードルが高いというイメージがあるのですが、大変なことはありますか?

先ほどの逆算の話に戻りますが、転職する時期は頭の中に漠然とあり、それに向けて準備はしていたので、転職するまでは大変と感じることは全くなかったのです。ただ、転職後に少し大変だなと思いましたね。

やはり以前の会社で4年間構築してきた人間関係や職務知識をすべてリセットして新しい環境に身を置くとなると、今まで自分が培ってきたことやできること、自分という人間を1から皆に伝えて、さらにそれを認めてもらわないといけないですよね。

自分ができること、できないことをしっかり棚卸をして開示していくという点ではいい機会になりましたが、やはり時間もかかるし、精神面でも負担がかかることだなと思いました。私の場合、MBAに通い始めたのも同時期でしたしね。

ー気になる学生も多いのでお聞きさせていただきたいのですが、コンサルティングとはずばり何でしょうか?
人によって違うと思いますが、私は、企業や(中小企業においては)経営者が一人では成せないことをお手伝いし、夢を実現させてあげることだと思っています。あくまで主役は企業であり、私たちは脇役として影で支える役です。

ーなるほど。中島さんの現在の会社は中途社員しか採っていないとお聞きしたのですが、社員はどのような人で構成されているのでしょうか。
今の会社の社員はコンサルティングファームから来ている人と、事業会社の人事を経験して来ている人で大半が構成されています。

私のような経歴は珍しいですね。30代後半から40代がボリュームゾーンです。

ー転職してよかったことを教えてください。

自分が想像していた仕事が出来ていることですね。あとは、些細なことなのですが、事情に合わせ好きなところで仕事できるということや、勤務時間も月換算なので、全体的に自由度が高いということですね。働き方が自分に合っていると思います。

でも一番良かったことは、興味のある分野が似ている人達が集まっているので、日常の会話からもすごく勉強することが多いですし、知的好奇心が刺激される毎日です。

まだまだ学ばないといけないことがたくさんあることを毎日痛感しています。

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